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『少女』のキム・シフ、この俳優の三十路が期待される(インタビュー)
依然として制服が似合うマスクと澄んだ瞳のせいだろうか。俳優キム・シフからはその歳よりも若々しい空気が流れていた。すっきりと装った姿からも映画『少女』の中の彼が演じた少年ユンスのイメージが少し重なって見えた。映画『親切なクムジャさん』の好奇心旺盛な少年の表情がまだ消えうせていないという気もした。

向かい合ってそう長い時間が経たずして、彼が同年代の俳優よりかなり多くの悩みを抱えて生きている人だという事実を知った。あどけない顔とはまるで違った彼の深い心の内を覗いてみた。

『少女』は傷を抱いた美しい少女と彼女を守るため全てを投げ出した少年の苦しい愛を描いた作品だ。キム・ユネが神秘的イメージの少女ヘウォン役を演じた。キム・シフはヘウォンを守ろうと取り返しのつかない選択をしてしまうユンス役を演じた。ヘウォンに会う前のユンスは、自分の失言で友人を自殺させてしまった傷を持つ人物。残酷な噂と共に田舎村の人々からないがしろにされるヘウォンを見て、得体の知れない感情を感じるようになる。

映画の公開を迎え、会見したキム・シフは「映画を見る度に不足な点が見える」とし「「こんな点に気を使わなきゃ」って常に無念さが残るシーンがある」と告白した。続けて「一段階ずつ学んで行く段階なので、いろいろな助けになっていると思う」と伝えた。

「新しい姿を見せたいという気持ちもありましたが、シナリオがとても良かったし難しいながらも挑戦したいキャラクターということで出演することにしました。なぜか分かりませんが自信がありました。「こんな風に解釈すればいいんだ」って思ったんです。シナリオに惹かれてからは、してみたかった部分がたくさん見えてきました。狂気じみた姿や潜在する内面の感情を表現してみたかったんです。僕は考えて悩むことが非常に好きな方です。悩みが次から次へと出てくると眠れないほどなんですよ。『少女』を準備しながらもそうでした」

26歳の青年の頭の中に深く入り込んだ悩みとは、一体どんなものなのだろうか。専ら明るいばかりの瞳にどんな悩みや葛藤がかすめているのかふと気になった。彼は「やはり幼い頃から社会生活をしていたので、そうなんだと思う」とし「今は仕事が整理されて理解出来る過程をたくさん経験したので、そうでもなくなった」と答えた。続けて「でもこれからの日々や過去にあった事を考えて、人生についてすごく悩む」とし「自分より年上の方々と普段から親しく過ごすためでもあるようだ」と笑いながら話した。

映画の公開後に話題を集めたのは当然、劇中で高校生として登場する男女主人公キム・シフとキム・ユネの風変わりなラブシーンだった。破格的な露出は全くなかったが、主人公の少年少女の吹きすさぶ感情がそのまま込められたシーンということで、注目を集めた。映画のマスコミ・配給試写当時、キム・シフは撮影当時のきまり悪さについて振り返った。「すごくきまり悪かったんですが、カメラの前ではそんな気持ちがなくなったりします。でもそのシーンは撮る前と後の雰囲気が変だったんです。撮る時だけは少年と少女のたどたどしい姿がぴったり合って幸いでした。万一熟練した男性を演じなければならなかったとしたら、勉強しなければならなかったんですが(笑)」

ユンスはヘウォンを守るため一肌脱ぎ、主人公二人は結局これ以上は逃げ場のない難関にぶち当たる。不気味な事件が彼らを取り巻くが、現実に心を寄せる場のなかった少年と少女が互いに支えあうようになった後、二人は以前になかった平穏を取り戻す。映画の結末はだからこそさらにもの悲しい。
「映画の結末が悲劇だとは思いません。シナリオを見ながら二人だけの安息の場を探すことは結局、悲しみというよりは落ち着ける場所を探し求める事なんだと思いました。ユンスの立場では、殺人を犯すことが犯罪というよりは単にヘウォンを守るための手段だったように思います。だからもろ刃の姿、善と悪が共存する姿が見えるんです。人を殺すことは悪い事ですが、そうするしかなかった状況ってあるじゃないですか。ユンスにとってはその人を永遠に守ることの出来る方法だったということでしょう」

清州出身のキム・シフは2005年にパク・チャヌク監督の映画『親切なクムジャさん』で強烈にスクリーンデビューした。中・高校時代を演技と共に過ごしただけに青少年期の学生時代に未練が残っていそうなものなのだが、キム・シフは首を振りながら「友人らとの思い出の写真のないのを除いては、名残惜しい点はない」と答えた。「幼い時から友人らと一生懸命勉強もしたし、運動もしました。中学、高校の時にちょっとでも学生時代を楽しんだので、そんなに名残惜しい点はありません。今も故郷の友人らと連絡をよく取っているし、友人がソウルに来て『少女』を見てくれたりもしましたから」

今年26歳の彼だが、映画の中の制服姿が全くぎこちなくない。成人演技者として童顔がコンプレックスに作用しないのか問うと、彼は「男は30歳からなので急いで考えたくはない」と大きな目に微笑をいっぱい浮かべた。

「僕が考えて悩む地点に合わせて行こうと努力しています。本物の俳優になりたくてこの仕事を始めましたし、だから作品を選択する時も慎重なんです。実際僕は有名になることに欲を出していません。人からたくさん気づかれれば負担にもなりそうですし。している仕事が俳優なので気づいてくれるのは有難いことなんですが、単に俳優として認識されたいです。初心を忘れず、ずっと一生懸命頑張るのがベストだと思いますし」

ハリウッドのトップ俳優レオナルド・ディカプリオの演技の歩みを話しながら「僕もそんな道を歩みたい」と話す、物静かに遠い道を見たいという青年キム・シフの目が穏やかに揺れた。彼が夢見る30歳はどんな色なのか、ちょっと早い期待を抱いてみてもよさそうだ。