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キム・レウォン「『パンチ』で第2の全盛期、大当たりするとは思わなかった」
キム・レウォンがいないドラマ『パンチ』は成功出来ただろうか?『パンチ』はそれこそキム・レウォンの、キム・レウォンのための、キム・レウォンによるドラマだった。

しっかりとしたストーリーと吹きすさぶような展開、反転を重ねるドラマチックな仕掛けと正義の実現という重みのあるテーマ。これにキム・レウォンの逸品演技が加わり、それこそこの上ない作品が完成された。権力の頂点から余命6か月の宣告を受け、自身の人生を振り返ることになった検事パク・ジョンファンを演じたキム・レウォンは、体にぴったり合わせたような完璧な演技で『パンチ』を月火ドラマの頂点に押し上げた。

ある者は『パンチ』をキム・レウォンの“人生作”と表現し、第2の全盛期を具現化したと言った。しかしドラマ放映終了後に会見したキム・レウォンは「ドラマをしている間は反応を全く知らなかった。『パンチ』が大当たりするという期待を持てなかった」と淡々とした表情で話した。

『追跡者 THE CHASER』ですでに執筆力を認められていたパク・ギョンス作家だったが、シノプシスと一冊の台本だけで行われた編成とキャスティングで、『パンチ』はSBS内部でも意見が分かれた。キム・レウォンのキャスティングをめぐって内部で反対意見もあった。またキム・レウォンも出演をためらった。一番最後に『パンチ』に乗船したのは、制作陣にとってもキム・レウォンにとっても“神の一手”だった。

「『パンチ』の初の台本練習の前日が、映画『江南1970』の最終撮影でした。制作陣が僕に確実にオファーしたわけではありませんでしたし、重い作品である『江南1970』をしてきたのに、また冷静な人物をすることに苦悩もありました。放送局で反対する方々もいると聞きました。でもその時イ・ミョンウPDが自信を持って僕を取って下さり、結果的に規模が大きくなりました。良い方々と演技出来ることになり、全ての拍子がきっちり合ったように思います」

キム・レウォンが演じたパク・ジョンファンは立体的なキャラクターだった。成功に対し欲の塊となり、不法や不正も厭わない人生を過ごしていた。家族すら顔を背けていたのに、余命数か月の宣告を受けることとなった。自分を奈落の底に突き落とした者への復讐のため、また娘がより良い世の中で生きることを願う正義実現のため権力と戦い、世の中と戦った。鋭敏な頭脳プレーと猪突的な推進力、諦めることを知らない執念は、視聴者の熱烈な支持を受けた。

キム・レウォンは「これまでした作品に比べ、比較的シンプルだった。難しくなかったし、苦悩したり痛みがなかった」と予想外の返事をした。「ジョンファンキャラクターが易しかったとか何でもなかったという話ではありません。死ぬほど大変ではなかったです。どうかするとパク・ジョンファンが死の瞬間まで鋭く、手綱を放さなかったじゃないですか。僕もドラマが終わるまでそうじゃなかったかなと思います。ドラマが終わってやっと虚しさがやって来て、体もすごく疲労した感じがしました」

台本が転がり込む戦争のような撮影現場。パク・ジョンファンに集中したキム・レウォンだったが、「最後の台本を控え、18、19話を撮る時に緊張が解けた。「戦争が終わるんだなあ」と思って解けたようだ。ドラマの最初から振り返り、最後の紐を引き締めた。監督も同じ考えだったのか、いらしゃって「最後の週だから頑張ろう」と言われた」と打ち明けた。

最終回でパク・ジョンファンはついに死んでしまったが、同時に死ななかった。脳死状態に陥ったパク・ジョンファンは、自分の心臓を妻シン・ハギョン(キム・アジュン)に提供し、生死の岐路に立っていたシン・ハギョンは、パク・ジョンファンの心臓を抱き健康になった体でユン・ジスク、イ・ホソン(オン・ジュワン)を法で裁いた。
世の中の不正と権力を批判するドラマ。その中心にいたパク・ジョンファンには、一際名シーンや名ゼリフが多かった。特に検事総長イ・テジュン(チョ・ジェヒョン)とはジャジャン麺を食べるシーンや別れの盃などをはじめ、数多くの名シーンが出た。キム・レウォンが挙げるドラマの名シーンは何だったろうか。

「ジョンファンは妹にまで「俺は父のように生きるのは嫌だ」と剛直にふるまっていたのに、一度だけハギョンの前で崩れてしまったシーンです。「イェリンのために生きたい」と嗚咽するシーンがすごく好きでした。憤怒や生に対する執着、娘とハギョンに対する愛が含蓄的に全て入っていたように思います。個人的に映画『ひまわり』の最終シーン演技の無念さがあったんですが、その短いシーンでその無念さが全て解消されました。たぶん視聴者は流れる一場面ぐらいにしか記憶していないと思いますが、僕にとっては多くの男性が挙げる『ひまわり』の名シーンよりもこの演技がもっと大きかったんです」

キム・レウォンは今年でデビュー18年目を迎えた。主人公を演じたドラマや映画の数だけでも25本、彼のフィルモグラフィがぎっしり詰まってきた。ドラマ『パンチ』と映画『江南1970』でキャラクターと渾然一体となった演技、そしてしっかりとしたコンテンツで演技派俳優の存在感を再度立証した。キム・レウォンは人気ではなく、かなり良い演技をする俳優になりたいとした。

「僕も20代の青春スターの時は金もたくさん稼いで広告にもたくさん出て、海外に行ってファンミーティングもやりました。30代になってからは目標とする方向が変わりました。見せることも重要ですが、僕が感じる俳優人生を生きることも非常に重要だと思うようになりました。以前享受したかったものが人気とするなら、今は俳優としての名声ではなく自ら満足できる真正性のある演技がしたいです」